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親族以外に株式を渡すなら何%までが安全か?

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親族以外に株式を渡すなら何%までが安全か?

親族以外に株式を渡すなら何%までが安全か?

2026/06/17

会社を設立した後、共同経営者、従業員、元同僚、知人、出資者などに株式を持たせたいという相談を受けることがあります。

 

「少しだけ株を持ってもらう」
「一緒に頑張ってくれる人だから、株式を渡したい」
「会社への貢献意欲を高めるために株主になってもらいたい」

 

このような考え自体は、不自然ではありません。

 

しかし、親族以外の人に株式を渡す場合は、かなり慎重に考える必要があります。

株式は、単なる記念品ではありません。
株式を持つということは、会社法上の株主としての権利を持つということです。

特に、親族ではない人、将来退職する可能性がある人、関係が悪くなる可能性がある人に株式を渡す場合は、「何株渡すか」だけでなく、「何%渡すのか」を意識する必要があります。

 

「過半数ではないから大丈夫」とは限らない

中小企業の社長が誤解しやすいのは、ここです。

 

「自分が過半数を持っているから大丈夫」
「相手には25%しか渡さないから大丈夫」
「10%くらいなら少ないから問題ない」

 

たしかに、会社の支配権という意味では、過半数を持っている株主が強い立場にあります。

さらに、定款変更、合併、事業譲渡など、会社の重要事項については、株主総会の特別決議が必要になることがあります。特別決議は原則として、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

そのため、3分の1を超える株式を持つ株主は、特別決議を止めることができる可能性があります

この意味で、3分の1超、つまり34%以上は、かなり強い意味を持つラインです。

では、34%未満なら安全でしょうか。

答えは、そう単純ではありません。

会社法には、過半数を持っていなくても、一定割合以上の株式や議決権を持つ株主に認められる権利があります。これを一般に少数株主権といいます。

 

1%、3%、10%というライン

親族以外に株式を渡すときは、少なくとも次のラインを意識しておくべきです。

 

1%のライン

会社法上、1%以上の議決権を持つ株主に認められる権利があります。

たとえば、株主総会の招集手続や決議方法を調査するために、裁判所へ株主総会検査役の選任を申し立てる制度があります。

実際に使われる場面は限られますが、1%でも「単なる名目的な株主」とは言い切れません。

発行済株式100株の会社であれば、1株でも1%です。

小さい会社では、たった1株でも、割合としては1%に到達します。

 

3%のライン

3%は、非常に重要なラインです。

総株主の議決権の3%以上を持つ株主には、一定の場合に株主総会の招集を請求する権利があります。

また、3%以上の株式や議決権を持つ株主には、会計帳簿やこれに関する資料の閲覧・謄写を請求する権利もあります。

さらに、役員の職務執行に不正行為や重大な法令・定款違反があるにもかかわらず、株主総会で解任議案が否決されたような場合には、一定の要件のもとで役員解任の訴えを提起できる場合もあります。

つまり、3%を持つ株主は、会社に対してかなり強い権利を持つことになります。

発行済株式100株の会社であれば、3株で3%です。

社長から見ると「3株くらい」と感じるかもしれません。
しかし、会社法上は3%株主です。

ここに、小さい会社特有の感覚のズレがあります。

上場会社の3%は非常に大きな割合です。
一方、小規模な非公開会社では、数株で3%に到達してしまいます。

「少しだけ株を渡す」という感覚と、「会社法上の少数株主権を行使できる割合」という現実が、ずれてしまうのです。

 

10%のライン

10%になると、さらに重い権利が問題になります。

たとえば、会社の業務執行が著しく困難になり、会社に回復できない損害が生じるおそれがある場合など、一定の重大な事情があるときには、10%以上の株主が会社の解散を訴えで請求できる制度があります。

もちろん、10%持っていれば簡単に会社を解散できるという意味ではありません。

しかし、会社が揉めたとき、10%株主は相当な圧力を持つことがあります。

発行済株式100株の会社であれば、10株で10%です。

「10株だけ」と思っていても、会社法上は10%株主です。

 

25%のライン

25%は、特別決議を単独で止める割合ではありません。

特別決議を止めることを考えるなら、通常は3分の1超、つまり34%以上が問題になります。

しかし、25%は決して少ない割合ではありません。

25%を持つ株主は、1%、3%、10%のラインをすべて超えています。

つまり、株主総会招集請求、会計帳簿閲覧請求、一定の場合の役員解任の訴え、会社解散の訴えなど、会社法上の少数株主権をかなり広く行使できる立場になります。

25%は、単なる従業員持株や記念的な持株というより、共同経営者、重要な事業パートナー、または会社の経営に相当程度関与する人に近い割合です。

「4分の1だけ」と見るか。
「会社法上の少数株主権をほぼ一通り使える割合」と見るか。

ここで判断が大きく変わります。

 

株主は、退職しても自動的に株主でなくならない

親族以外に株式を渡す場合に、特に注意すべき点があります。

それは、従業員や役員を辞めても、自動的に株主ではなくなるわけではないということです。

従業員であれば、退職すれば雇用関係は終了します。
取締役であれば、辞任や解任により役員の地位は終了します。

しかし、株式は別です。

会社を辞めたからといって、当然に株式を会社や社長へ返さなければならないわけではありません。

そのため、次のような問題が起こり得ます。

 

会社を辞めた人が株主として残る。
関係が悪くなった人が株主として残る。
競業会社に移った人が株主として残る。
相続により、その人の家族が株主になる。

 

会社が成長した後に、株式の買取価格で揉める。

これは、小規模会社ではかなり大きな問題です。

親族だけの会社であれば、多少の不満があっても話し合いで済むことがあります。
しかし、親族以外の株主が入ると、会社法上の権利関係として処理しなければならなくなります。

 

株式譲渡契約書だけでは足りないことがある

株式を譲渡するときは、通常、株式譲渡契約書を作成します。

株式譲渡契約書では、主に次のような内容を定めます。

誰が、誰に、何株を、いくらで譲渡するのか。
譲渡日はいつか。
譲渡代金はいつ、どのように支払うのか。
譲渡制限株式であれば、会社の承認を受けるのか。

これらはもちろん重要です。

しかし、株式譲渡契約書だけでは、将来の問題に十分対応できないことがあります。

たとえば、

株式を譲り受けた人が退職したらどうするのか。
競業した場合はどうするのか。
会社との関係が終了した場合、株式を買い戻すのか。
買い戻す場合の価格はいくらにするのか。
死亡した場合、相続人に株式が移ることを認めるのか。
第三者へ株式を譲渡しようとした場合はどうするのか。

こうした点は、株式譲渡契約書とは別に、株主間契約や株式の取扱いに関する合意書で定めておくことがあります。

 

「何%なら安全」とは一概に言えない

結局、親族以外に株式を渡す場合、何%までなら安全なのでしょうか。

これは、会社の状況、相手との関係、会社への関与度、将来の事業計画によって変わります。

1%でも慎重に考えるべき場合があります。
3%を超えるなら、少数株主権を意識する必要があります。
10%を超えるなら、かなり重要な株主として扱うべきです。
25%を渡すなら、共同経営者・重要パートナーとして迎える覚悟が必要です。
3分の1を超えるなら、会社の重要事項を単独で止め得る立場になります。

したがって、「何%なら絶対に大丈夫」という答えはありません。

大事なのは、割合ごとの意味を理解したうえで株式を渡すことです。

 

親族以外に株式を渡す前に確認すべきこと

親族以外の人に株式を渡す前に、少なくとも次の点を確認すべきです。

 

 その人は、会社にどの程度関与するのか。
 単なる従業員なのか、共同経営者なのか。
 退職した場合、株式をどうするのか。
 競業した場合、株式をどうするのか。
 第三者への譲渡を制限できるか。
 死亡した場合、相続人が株主になることを想定しているか。
 買戻価格は、取得価額にするのか、純資産価額にするのか、時価にするのか。
 株主間契約や株式取扱合意書を作成する必要があるか。

 

ここを決めないまま株式を渡してしまうと、会社がうまくいった後、または関係が悪くなった後に、非常に難しい問題になることがあります。

 

まとめ

親族以外に株式を渡す場合、「少しだけだから大丈夫」と考えるのは危険です。

小規模会社では、数株でも1%、3%、10%という会社法上重要なラインに到達します。

特に3%以上になると、株主総会招集請求や会計帳簿閲覧請求など、会社に対して強い権利を持つ可能性があります。

25%は過半数ではありません。
特別決議を止める割合でもありません。

しかし、25%は、単なる従業員持株というより、共同経営者や重要パートナーに近い割合です。

親族以外の人に株式を渡す場合は、株式譲渡契約書を作成するだけでなく、退職時、競業時、死亡時、関係悪化時に株式をどう扱うかまで決めておくことが重要です。

株式は、一度渡すと簡単には戻せません。

会社の将来を守るためにも、親族以外に株式を渡す前に、その割合の意味と、将来の出口設計をしっかり確認しておくべきです。

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