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自筆証書遺言に誤記があった場合、遺言は無効になるのか

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自筆証書遺言に誤記があった場合、遺言は無効になるのか

自筆証書遺言に誤記があった場合、遺言は無効になるのか

2026/06/19

自筆証書遺言に誤記があった場合、遺言は無効になるのか

自筆証書遺言が見つかった場合、遺言書の中に誤記があることがあります。

 

たとえば、遺言書に、

「遺言者は、次の建物を長男Aに相続させる」

と書かれているものの、長男Aの生年月日の一部が間違っているような場合です。

 

このような場合、すぐに「遺言は無効です」と判断できるのでしょうか。

結論からいうと、遺言書に誤記があるからといって、直ちに遺言が無効になるとは限りません。

もっとも、反対に「多少間違っていても大丈夫です」と簡単に考えてよいものでもありません。
遺言書は、亡くなった方の意思を実現するための重要な書類です。
そのため、記載内容に誤りがある場合には、その誤記によって、遺言の内容が不明確になっていないかを慎重に確認する必要があります。

 

自筆証書遺言でまず確認すべきこと

自筆証書遺言では、まず民法上の方式を満たしているかが重要です。

一般的には、全文、日付、氏名が自書され、押印があるかが問題になります。
また、不動産を相続させる内容であれば、その不動産が特定できるかも重要です。

さらに、誰に相続させるのかが、遺言書全体から読み取れるかも問題になります。

相続人の生年月日は、その人を特定するための補助的な情報です。
そのため、生年月日の一部に誤記があったとしても、氏名、続柄、戸籍関係などから、誰を指しているのか明らかであれば、ただちに遺言が無効になるとは限りません。

たとえば、遺言書に「長男A」と書かれており、氏名も正しく、戸籍上もその人が遺言者の長男であることが明らかな場合には、生年月日の一部に誤りがあっても、その誤記だけで遺言全体が無効になるとは限らないと考えられます。

 

誤記があった場合の裁判例

遺言書の誤記については、実際の裁判でも問題になった例があります。

東京高裁平成28年10月12日判決では、公正証書遺言の中に、遺言者の生年月日や相続に関係する者の記載について複数の誤記がありました。

公正証書遺言は、公証人が関与して作成される遺言です。
それにもかかわらず複数の誤記が残っていたため、遺言者の判断能力や、遺言の内容を本当に理解していたのかが争われました。

しかし裁判所は、誤記があることだけをもって、直ちに遺言を無効とは判断していません。
遺言書作成の経緯、遺言の内容、遺言者の状態などを総合的に検討しています。

つまり、裁判例から見ても、

「誤記があるから無効」

という単純な判断にはなりません。

一方で、

「誤記があっても必ず有効」

ということでもありません。

誤記の内容や、遺言書全体の記載、相続人や財産を特定できるかどうかによって、判断は変わります。

 

比較的問題になりにくい誤記

たとえば、次のような事情があれば、誤記があっても比較的問題になりにくいと考えられます。

 

・相続人の氏名は正確に書かれている
・「長男」「長女」などの続柄が正しく書かれている
・戸籍上、その人物が明確に特定できる
・同姓同名の相続人や親族がいない
・相続させる不動産がきちんと特定されている

 

このような場合には、遺言書全体から見て、誰に何を相続させる趣旨なのかを読み取ることができる可能性があります。

一方で、氏名にも誤りがある場合、同じような名前の相続人が複数いる場合、不動産の表示にも誤りがある場合などは、慎重な判断が必要です。

特に、不動産の表示が不正確で、どの不動産を指しているのか分からない場合には、相続登記にも支障が出る可能性があります。

 

自筆証書遺言が見つかった場合の注意点

自筆証書遺言が見つかった場合、まず注意しなければならないのは、遺言書の取り扱いです。

封がされている遺言書については、相続人がその場で開封して内容を確認するのではなく、家庭裁判所の検認手続の中で確認することになります。

また、封がされていない遺言書であっても、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していない通常の自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での検認が必要になります。

そのため、遺言書に誤記があるかどうかは、事前に分かる場合もあれば、検認手続後に初めて分かる場合もあります。

ここで大切なのは、遺言書を見つけたからといって、すぐに中身を確認したり、自己判断で手続を進めたりしないことです。

遺言書が見つかった場合には、まず、その遺言書が開封してよいものか、検認が必要なものかを確認する必要があります。

 

誤記がある場合は、遺言書全体を見て判断する

誤記が見つかった場合でも、すぐに有効・無効を決めつけることはできません。

裁判例でも、遺言書に誤記があることだけをもって直ちに遺言を無効と判断するのではなく、遺言書全体の記載、作成の経緯、遺言者の状態、相続人や財産が特定できるかどうかなどを総合的に検討しています。

たとえば、相続人の生年月日の一部に誤記があったとしても、氏名や続柄、戸籍関係からその人物が明確に特定できる場合には、その誤記だけで遺言が無効になるとは限りません。

しかし、誤記の内容によっては、相続人の特定や不動産の特定に影響し、相続登記やその後の手続に支障が出ることもあります。

特に相続人間で意見の対立がある場合には、誤記が争いのきっかけになることもあります。

 

まとめ

自筆証書遺言に誤記がある場合でも、それだけで直ちに遺言が無効になるとは限りません。

ただし、誤記の内容によっては、誰に相続させるのか、どの財産を相続させるのかが不明確になり、相続登記や相続手続に支障が出ることがあります。

遺言書に誤記がある場合は、

「これは単なる書き間違いだから大丈夫」

と軽く考えるのではなく、遺言書全体の記載、戸籍関係、不動産の表示、相続人関係を確認したうえで、慎重に判断することが大切です。

当事務所では、自筆証書遺言が見つかった場合の検認手続や、検認後の相続登記についてご相談を承っております。

遺言書に誤記がある場合でも、内容を確認したうえで、相続登記を進められるかどうかを検討いたします。
自筆証書遺言が見つかった場合や、検認後に遺言書の記載内容に不安がある場合は、お早めにご相談ください。

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