【住所変更登記義務化・第10回】検索用情報のメールアドレスを変更・削除したい―認証キーをなくした場合は?
2026/09/06
前回は、検索用情報単独申出について、本人確認書類、郵送、オンライン申出、司法書士代理など、実際の手続方法を確認しました。
検索用情報の申出をして、検索用情報管理ファイルへの記録が完了すると、メールアドレスを申し出ている人には法務局から手続完了メールが送られます。
そのメールには、
「認証キー」
という重要な情報も記載されています。
では、その後メールアドレスを変更したらどうすればよいのでしょうか。
認証キーをなくしてしまったら?
最初はメールアドレスを申し出なかったものの、後から登録したくなったら?
そもそも手続完了メールが届かなかったら?
実は、それぞれ手続が異なります。
今回は、令和7年3月3日付法務省民二第373号通達と「検索用情報の申出に関する質疑事項集」を基に、検索用情報管理ファイルに記録されたメールアドレスの変更・削除・新規登録と、認証キーの仕組みを整理します。
※本記事は令和8年9月現在の制度に基づいています。令和8年10月5日から検索用情報に「国籍等」が追加され、海外居住者にも制度が拡大されますが、本記事で扱うメールアドレス管理については、現時点で確認できる制度を基に説明します。
まずは5つのケースを整理
メールアドレスに関する手続は、現在の状態によって変わります。
| 状況 | 基本的な対応 |
|---|---|
|
現にメールアドレスが記録され、 認証キーも分かる |
本人がオンラインで直接変更・削除 |
|
認証キーを失念したなど、 本人によるオンライン変更・削除ができない |
登記官に書面で変更・削除を申出 |
|
検索用情報管理ファイルにメールアドレス以外の情報は記録されているが、 メールアドレスが記録されていない |
登記官に新規登録を申出 |
| 手続完了メールが届かず、当初メール送信後2か月以内 | 一定の場合に電話等で連絡し、訂正・再送信 |
| 当初メール送信後2か月を過ぎてから不着が判明 | 申出書によるメールアドレス変更の申出 |
特に重要なのは、
「通常のオンライン変更・削除」
と、
「登記官に書面で申し出る変更・削除・新規登録」
は別の仕組みだという点です。
「認証キー」とは何か?
認証キーとは、検索用情報管理ファイルに記録されたメールアドレスを、後から変更・削除する際に使用する情報です。
373号通達では、
「10桁の番号、記号その他の符号」
と定義されています。
検索用情報の申出の際にメールアドレスを提供した場合、登記官が検索用情報管理ファイルへの記録を完了すると、手続完了メールが送信されます。
そのメールには、
- 申出手続が完了した旨
- 立件年月日・立件番号
- 不動産番号
- 認証キー
- 申出を受けた登記所
などが記載されます。
認証キーは「登記識別情報」ではない
名称だけを見ると非常に重要な暗証番号のように感じますが、認証キーは、不動産を売却するときなどに使用する登記識別情報とは別物です。
認証キーをなくしたからといって、
不動産を売却できなくなる
わけではありません。
また、いわゆる「権利証」に相当するものでもありません。
認証キーは、あくまで検索用情報として記録されたメールアドレスを変更・削除する際に使うための情報です。
通常のメールアドレス変更・削除は本人がオンラインで行う
現在メールアドレスが検索用情報管理ファイルに記録されていて、認証キーも分かっている場合には、所有権登記名義人本人がオンラインで直接メールアドレスを変更又は削除できます。
その際、本人確認・認証のために使用するのが、
①認証キー
②現在、検索用情報管理ファイルに記録されているメールアドレス
です。
メールアドレスを変更する場合には、これらに加えて変更後のメールアドレスを入力します。
つまり、
認証キーだけ分かれば変更できる
という仕組みではありません。
現在記録されているメールアドレスとの組合せが必要です。
373号通達では、この変更・削除は所有権登記名義人本人が直接行うものとされており、「これに関する登記官の事務は生じない」とされています。
したがって、この通常ルートは、
法務局へメールアドレス変更の申出書を提出し、登記官に変更してもらう手続ではありません。
本人がオンラインシステム上で直接行う手続です。
現在は「かんたん登記・供託申請」から変更・削除できる
令和8年9月現在、「かんたん登記・供託申請」には、
「メールアドレスを変更する」
「メールアドレスを削除する」
という専用機能が設けられています。
現在の公式操作ガイドによれば、メールアドレス変更・削除機能の利用時間は、
月曜日から金曜日の午前8時30分から午後7時30分まで
で、国民の祝日・休日、12月29日から1月3日までを除くとされています。
画面上の具体的な操作方法や利用時間は変更される可能性があるため、実際に利用する際には最新の公式案内を確認するのがよいでしょう。
認証キーをなくしたらどうする?
では、認証キーをなくしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
373号通達は、
認証キーを失念したことなどにより、通常のオンライン方式でメールアドレスを変更又は削除できない場合
について、別の手続を用意しています。
この場合には、
登記官に対し、メールアドレスを変更又は削除するよう申し出る
ことができます。
したがって、
「認証キーをなくしたら、もうメールアドレスを変更できない」
ということではありません。
認証キー紛失時は書面で申し出る
認証キーを失念した場合等の変更・削除は、通常のオンライン変更とは違い、必要事項を記載した書面を登記所に提出します。
373号通達では、主に、
- 申出人の氏名・住所・生年月日
- 外国人の場合はローマ字氏名
- 申出の目的
- 変更の場合は変更前・変更後のメールアドレス
- 削除の場合は削除するメールアドレスとメールアドレスを有しない旨
- 電話番号その他の連絡先
- 申出年月日
- 登記所
などを記載することとされています。
さらに、
申出人と所有権登記名義人が同一人であることを確認できる公務員作成の証明書
を登記官に提示又は提出する必要があります。
書面による変更・削除は不動産所在地の管轄登記所だけではない
ここは、前回取り上げた検索用情報単独申出と違うところです。
検索用情報単独申出では、原則として対象不動産を管轄する登記所が申出先でした。
しかし、認証キーを失念した場合等の書面によるメールアドレス変更・削除について、373号通達は、
所有権登記名義人として記録されている不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対しても申し出ることができる
としています。
この取扱いは、後で説明するメールアドレスの新規登録についても同様です。
したがって、
「書面でメールアドレスを変更するには、その不動産を管轄する法務局まで行かなければならない」
というわけではありません。
登記官に変更してもらった場合は認証キーが書面で交付される
認証キーを失念したため書面で申出を行い、登記官がメールアドレスを変更した場合には、
認証キーを記載した書面
が申出人に交付されます。
ここで、
「なくした認証キーを再発行してもらう」
と理解するのは正確ではありません。
373号通達が定めているのは、メールアドレスの変更後に、認証キーを記載した書面を交付するという取扱いです。
最初にメールアドレスを登録しなかった人も、後から新規登録できる
検索用情報管理ファイルに、メールアドレスを除く検索用情報が記録されている所有権登記名義人については、後からメールアドレスを登録することもできます。
373号通達では、このような所有権登記名義人は、
電子メールアドレスを検索用情報管理ファイルに記録するよう、登記官に申し出ることができる
としています。
この申出の目的は、
「電子メールアドレスの新規登録」
です。
「新規登録」は通常のオンライン変更とは別
ここも重要です。
既に記録されているメールアドレスを変更・削除する通常ルートでは、
認証キー+現在記録されているメールアドレス
を使い、本人がオンラインで直接操作します。
一方、
最初からメールアドレスが記録されていない人の「新規登録」
は、このオンライン変更・削除機能とは別です。
登記官に対して、新たにメールアドレスを記録するよう申し出ます。
新規登録の際にも、変更・削除の書面申出と同様の本人確認等の取扱いが適用されます。
そして新規登録後には、後で本人がオンライン変更・削除を行えるよう、認証キーが記載された書面が交付される仕組みになっています。
変更・削除・新規登録ではどう本人確認する?
登記官にメールアドレスの変更・削除・新規登録を申し出る場合には、
申出人が本当にその所有権登記名義人本人なのか
を確認する必要があります。
質疑事項集問39では、本人確認書類の例として、
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 一定の旅券等
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 運転経歴証明書
などを挙げています。
また、書類の種類によっては2種類以上の書類や一定の組合せによる本人確認も認められています。
この点は前回詳しく取り上げたため、ここでは深入りしません。
なお、本人確認書類に記載された氏名又は住所が、検索用情報管理ファイルに記録されている氏名若しくは住所又は申出書に記載した氏名若しくは住所と合致しない場合には、氏名又は住所のつながりを確認できる戸籍の附票の写し等の提出が必要となります。
申出書には押印が必要?
メールアドレスの変更・削除・新規登録の書面申出については、
申出書への押印は基本的に不要
です。
質疑事項集問40が明確に確認しています。
これは、前回取り上げた検索用情報単独申出と同じ考え方です。
郵送で申し出る方法もある
もっとも、
「法務局の窓口まで行くのは大変なので郵送したい」
という場合もあります。
質疑事項集問40では、
申出書に実印を押印し、印鑑証明書を添付することにより、郵送によって申し出ることもできる
としています。
したがって、
メールアドレスの変更・削除・新規登録は必ず法務局の窓口へ出向かなければならない
というわけではありません。
代理人による申出も認められる
メールアドレスの変更・削除・新規登録は、手続の性質上、
基本的には所有権登記名義人本人が行うこと
が想定されています。
しかし、質疑事項集問41は、代理人による申出も認めています。
代理人から申し出る場合には、
- 代理人の氏名等を申出書に記載
- 代理権限を証する書面を添付
- その代理権限を証する書面に申出人が押印
- 印鑑証明書を添付
という取扱いになります。
ただし、これは登記官に対して行う書面による変更・削除・新規登録の申出についての話です。
通常の、
認証キー+現在のメールアドレスを使って本人が直接オンライン変更・削除する方法
を、代理人が本人に代わって操作できるという意味ではありません。
この2つは区別する必要があります。
手続完了メールが届かなかったら?
次に問題になるのが、
検索用情報を申し出たのに、手続完了メールが届かない
というケースです。
例えば、
- 申請情報又は検索用情報申出情報に誤ったメールアドレスが記載されていた
- 登記官による処理に誤りがあった
などの場合です。
このとき重要になるのが、
当初の手続完了メールの送信後「2か月」
という期間です。
当初メール送信後2か月以内なら、電話等で対応できる場合がある
373号通達では、手続完了メールの送信後2か月を経過するまでの間に、
「メールが届かない」
という申出があり、その原因が、
登記官の過誤
又は、
提供された申請情報・検索用情報申出情報に記載されたメールアドレスの誤り
であると認められる場合には、登記官が検索用情報管理ファイルに更正後のメールアドレスを記録し、手続完了メールを再送信するものとしています。
ここで注意したいのは、
2か月は検索用情報を申し出た日から数えるのではない
という点です。
基準になるのは、
当初の電子メールの送信後2か月
です。
「届かない」という連絡は電話でもよい
質疑事項集問42では、この「メールが届かない」という申出について、
電話等の適宜の方法ですることができる
とされています。
法務局では、申出事件を特定する情報や、本人確認に必要な情報、申出年月日、申し出た検索用情報の内容、正しいメールアドレスなどを確認した上で対応することが想定されています。
ただし、
2か月以内なら、好きなメールアドレスに電話一本で自由に変更できる
という制度ではありません。
これは、手続完了メールが届かなかった場合に、誤っていたメールアドレスを訂正するための特別な取扱いです。
通常の事情でメールアドレスを変更したい場合には、認証キー等を使った変更手続を行います。
2か月を過ぎたら正式なメールアドレス変更申出
では、当初のメール送信から2か月を過ぎてから、
「そういえば手続完了メールが届いていなかった」
と気付いた場合はどうなるのでしょうか。
質疑事項集問43では、
当初の電子メールの送信後2か月を経過してから不着の連絡があった場合には、申出書による電子メールアドレス変更の申出をするよう案内する
とされています。
したがって、整理すると、
| 状況 | 対応 |
|---|---|
|
当初メール送信後 2か月以内 |
原因が登記官の過誤や申出情報のメールアドレスの誤りなら、 電話等で確認の上、更正・再送信できる場合がある |
|
当初メール送信後 2か月経過後 |
申出書によるメールアドレス変更の申出へ |
となります。
メールが届かないと「認証キー」も分からない
この2か月ルールが重要なのは、手続完了メールには認証キーも記載されているからです。
手続完了メールそのものが届かなければ、そのメールに記載された認証キーも本人には分かりません。
そこで、
メール不着が早い段階で判明した場合の訂正手続
と、
認証キーを失念した場合等の正式な書面申出
という複数の対応方法が設けられています。
ただし、
メールが届かない場合と、認証キーを失念した場合は、制度上同じ取扱いではありません。
それぞれ別の取扱いが設けられています。
変更後・新規登録後のメールアドレスも「本人のみが利用するもの」
検索用情報として申し出るメールアドレスは、
所有権登記名義人本人のみが現に利用するもの
である必要があります。
変更後や新規登録するメールアドレスについても、この点に注意する必要があります。
したがって、
「自分はメールをあまり使わないから家族のアドレスを登録する」
「司法書士のメールアドレスを代わりに登録しておく」
といった取扱いを当然にすることはできません。
メールアドレスを削除しても、ほかの検索用情報は消えない
メールアドレスは、後から削除することができます。
しかし、この削除は、
検索用情報管理ファイルに記録された「メールアドレス」という一つの記録事項を削除する手続
です。
メールアドレスを削除したからといって、
- 氏名
- 氏名の振り仮名等
- 住所
- 生年月日
- 所有権登記名義人としての登記記録を特定する情報
まで一緒に削除されるわけではありません。
検索用情報管理ファイル自体の保存期間は、これまでの記事で説明したとおり、規則上永久とされています。
保存期間が永久であることと、メールアドレスという一つの記録事項を後から変更・削除できることは、別の問題です。
法務局を装ったメールにも注意
検索用情報制度では、法務局からメールが届く場面が複数あります。
登記・供託オンライン申請システムは、フィッシングメールへの注意喚起として、
「【法務局】申出手続完了のお知らせ」
「メールアドレスの変更 認証用URLのお知らせ」
「メールアドレスの変更のお知らせ」
など、実際に送信されるメールの例を公開しています。
不審なメールかどうか迷った場合には、メール内のリンクを安易に開くのではなく、送信元や登記・供託オンライン申請システムの公式サイトを確認することも重要です。
まとめ―認証キーをなくしてもメールアドレスは変更できる
検索用情報として申し出たメールアドレスは、後から変更・削除することができます。
通常は、
認証キー+現在記録されているメールアドレス
を本人確認・認証に使い、所有権登記名義人本人がオンラインで直接変更・削除します。
メールアドレスを変更する場合には、変更後のメールアドレスも入力します。
この通常の方法では、登記官に変更申出をするわけではありません。
一方、認証キーを失念したなどの理由で通常のオンライン変更・削除ができない場合には、
登記官に書面で変更・削除を申し出る
ことができます。
また、検索用情報管理ファイルにメールアドレスを除く検索用情報が記録されている人であれば、
「電子メールアドレスの新規登録」
として後から記録してもらうこともできます。
書面による変更・削除・新規登録では本人確認が必要ですが、申出書への押印は原則不要です。
郵送による方法や、一定の条件の下で代理人による申出も認められています。
さらに、手続完了メールが届かなかった場合には、
当初のメール送信後2か月以内か、それを経過しているか
によって取扱いが変わります。
2か月以内で、登記官の過誤や申出情報のメールアドレスの誤りが原因であると認められる場合には、電話等で確認した上で更正・再送信される場合があります。
2か月を経過している場合には、申出書による正式なメールアドレス変更の申出をすることになります。
つまり、
認証キーをなくしたから手続ができなくなるわけでも、手続完了メールが届かなかったら制度を利用できなくなるわけでもありません。
それぞれの状況に応じた手続が用意されています。
ここまでで、検索用情報そのものを申し出る方法と、その後のメールアドレスを管理する方法まで確認しました。
では、法務局はこの検索用情報を、実際にどのように使うのでしょうか。
住所を変更すると、すぐに法務局が気付くのでしょうか。
住基ネットへの照会はどのくらいの頻度で行われるのでしょうか。
住所や氏名の変更が見つかった後、どのように本人の了解を確認するのでしょうか。
そして、返事をしなかった場合にはどうなるのでしょうか。
次回は、「スマート変更登記は実際にどう行われる?―住基ネット照会から本人の了解・職権登記まで」をテーマに、検索用情報が実際に使われ、職権による住所等変更登記まで進む仕組みを詳しく確認します。
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