2026年から40㎡台の住宅も減税対象に?登録免許税だけ50㎡のまま
2026/07/10
不動産取得税・住宅ローン減税・住宅用家屋証明書の床面積要件を比較
「2026年から、床面積40㎡台の住宅も減税対象になった」
このような情報を見て、40㎡以上のマンションであれば、住宅購入に関係する税金がすべて軽くなると思っていないでしょうか。
実際には、住宅に関係する税制の床面積要件は統一されていません。
2026年の改正により、不動産取得税と住宅ローン減税は40㎡台の住宅にも対象が広がりました。
一方、所有権移転登記や抵当権設定登記の登録免許税を軽減するために使用する「住宅用家屋証明書」は、現在も床面積50㎡以上が必要です。
さらにマンションでは、広告に書かれた面積、登記事項証明書に記載された面積、不動産取得税で使用される面積が異なることがあります。
大切なのは、単に「40㎡以上か」「50㎡以上か」を見ることではありません。
どの税金について、どの床面積を確認するのかを分けて考える必要があります。
※本記事は、2026年7月10日現在の制度を前提としています。
目次
- 2026年に変わった床面積要件
- 住宅用家屋証明書だけ50㎡以上のまま
- 同じマンションに複数の床面積がある
- 不動産取得税は共用部分を含めて判定する
- 評価証明書の表示は自治体によって違う
- 40㎡台のマンションを購入する場合の具体例
- 不動産購入前後の確認手順
- よくある質問
- まとめ
2026年に変わった住宅の床面積要件
まず、不動産購入に関係する三つの制度を比較します。
| 制度 | 2026年の床面積要件 | 主に確認する面積 |
|---|---|---|
| 不動産取得税の住宅軽減 | 原則40㎡以上240㎡以下 | 現況床面積・課税上の床面積 |
| 住宅ローン減税 | 原則40㎡以上 | 登記事項証明書上の床面積 |
| 住宅用家屋証明書による登録免許税軽減 | 50㎡以上のまま | 登記事項証明書上の床面積 |
この表だけでも、住宅に関する税制がすべて同じ基準ではないことが分かります。
不動産取得税は2026年4月から40㎡以上に
2026年4月1日以後に取得した住宅について、不動産取得税の軽減を受けるための床面積要件は、原則として次のように緩和されました。
50㎡以上240㎡以下
↓
40㎡以上240㎡以下
新築住宅だけでなく、本人が居住する一定の中古住宅についても対象が広がっています。
住宅用土地の軽減についても、土地の取得日が2026年4月1日以後であれば、原則として40㎡以上240㎡以下の住宅が対象になります。
土地を2026年3月31日以前に取得している場合は、従前の50㎡要件が適用されることがあるため、土地と建物の取得時期には注意が必要です。
住宅ローン減税も新築・中古とも40㎡以上に
2026年1月1日から2030年12月31日までに入居する住宅について、住宅ローン減税の床面積要件は、新築住宅・既存住宅とも原則40㎡以上に緩和されました。
ただし、40㎡以上50㎡未満の住宅には、次の制限があります。
- 合計所得金額1,000万円以下であること
- 子育て世帯・若者夫婦世帯向けの借入限度額上乗せ措置を利用する場合は50㎡以上であること
40㎡以上であれば無条件に対象になるわけではありません。入居時期、所得、住宅の省エネ性能、借入期間など、ほかの要件も確認する必要があります。
住宅用家屋証明書だけ50㎡以上のまま
2026年の改正後も、住宅用家屋証明書の床面積要件は、原則として次のとおりです。
床面積50㎡以上
杉並区の案内でも、住宅用家屋証明書の取得要件として、床面積50㎡以上であることが明記されています。
住宅用家屋証明書は何に使うのか
住宅用家屋証明書は、その住宅が登録免許税の軽減要件を満たしていることを市区町村長が証明する書類です。
主に、建物について次の登記を申請するときに使用します。
- 所有権保存登記
- 売買による所有権移転登記
- 住宅取得資金の借入れに伴う抵当権設定登記
一般住宅の場合、住宅用家屋証明書を添付することで、登録免許税は次のように軽減されます。
| 登記 | 本則税率 | 一般住宅の軽減税率 |
|---|---|---|
| 所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% |
| 売買による建物の所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% |
| 抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% |
この特例は、原則として住宅の新築または取得後1年以内に登記を受ける場合に適用されます。現在の適用期限は2027年3月31日です。
例えば、中古住宅の固定資産評価額が1,000万円の場合、建物の所有権移転登記の登録免許税は、単純計算で次のように変わります。
- 軽減なし:1,000万円×2%=20万円
- 軽減あり:1,000万円×0.3%=3万円
床面積が50㎡にわずかに届かないだけでも、登録免許税の差は小さくありません。
なぜ住宅用家屋証明書だけ変わらなかったのか
不動産取得税、住宅ローン減税、登録免許税は、それぞれ別の税金です。
- 不動産取得税は都道府県税
- 住宅ローン減税は所得税等の控除制度
- 登録免許税は登記を受ける際に納付する国税
床面積要件も、それぞれ別の法令上の特例として定められています。
2026年の改正は、住宅関係のすべての制度を一律40㎡以上に統一したものではありません。不動産取得税と住宅ローン減税では40㎡への緩和が行われましたが、一般住宅の登録免許税軽減については、従前の50㎡要件が残りました。
住宅用家屋証明書だけ50㎡のままとされた詳細な政策理由は、公表資料からは明確ではありません。
したがって、「変更を忘れた」「次回は必ず40㎡になる」と断定することはできません。現時点では、制度ごとに異なる基準が併存していると理解する必要があります。
同じマンションに複数の床面積がある
マンションを購入する場合、床面積には少なくとも次の三つがあります。
広告や販売図面の壁芯面積
壁の中心線を基準に測った面積です。
マンションの広告やパンフレットでは、一般に壁芯面積が表示されます。壁の厚みの一部を含むため、通常は登記床面積より大きくなります。
登記事項証明書の床面積
区分建物の登記床面積は、壁の内側を基準とする内法面積です。
共用廊下、階段、エントランスなどは、専有部分の登記床面積には入りません。
住宅用家屋証明書や住宅ローン減税では、原則としてこの登記事項証明書上の専有部分の床面積を確認します。
住宅ローン減税について、国税庁も、マンションの共用階段や通路を含めず、登記事項証明書上の専有部分の床面積で判断すると案内しています。
不動産取得税上の現況床面積・課税床面積
不動産取得税では、登記床面積だけでなく、マンションの共用部分を各住戸に按分した床面積も含めて判定します。
東京都主税局は、マンション等では共用部分を専有部分の床面積割合で按分した面積を現況床面積に含めると案内しています。埼玉県も、区分所有家屋や共同住宅について、共用部分を床面積に含めると説明しています。
不動産取得税の「40㎡」は登記床面積とは限らない
ここは、今回の改正で特に誤解しやすい部分です。
例えば、あるマンションについて、次のような面積が記載されていたとします。
- 広告の壁芯面積:43㎡
- 登記床面積:39㎡
- 共用部分を含む不動産取得税上の床面積:45㎡
この場合、それぞれの制度の結論は次のようになります。
| 制度 | 判定 |
|---|---|
| 不動産取得税 | 45㎡として判定するため、軽減対象になり得る |
| 住宅ローン減税 | 登記床面積39㎡なので、床面積要件を満たさない |
| 住宅用家屋証明書 | 登記床面積50㎡未満なので対象外 |
つまり、登記床面積が40㎡未満でも、不動産取得税の軽減を受けられる可能性があります。
反対に、広告上は50㎡以上と書かれていても、登記床面積が50㎡未満であれば、住宅用家屋証明書を取得できないことがあります。
不動産広告の面積だけで税金の軽減を判断することはできません。
評価証明書の表示方法は自治体によって違う
不動産取得税上の床面積を確認する際には、固定資産評価証明書や公課証明書が参考になります。
ただし、証明書の様式や名称は全国で統一されていません。
実務で目にする評価証明書には、例えば次のような違いがあります。
- 「登記床面積」と「課税床面積」を横に並べて表示する
- 「登記」と「現況」を上下二段で表示する
- 専有部分とは別に、集会所やポンプ室などの共用施設を表示する
- 共用施設の全体床面積と、各区分所有者に対応する持分・按分面積を別々に表示する
実際に、印西市と八潮市の証明書を比較しても、専有部分と共用施設の表示方法は同じではありません。
そのため、評価証明書に「課税床面積」と書かれた数字があっても、その数字だけで共用部分のすべてが含まれているとは限りません。
集会所、附属家、管理施設などが別項目になっていないかも確認する必要があります。
なお、固定資産評価証明書を発行するのは市区町村ですが、不動産取得税を課税するのは都道府県です。
証明書だけでは判断できない場合には、不動産所在地を管轄する都税事務所・県税事務所へ確認するのが確実です。
40㎡台のマンションでは税金ごとに結論が変わる
登記床面積43㎡、不動産取得税上の床面積51㎡の中古マンションを、本人の居住用として2026年に購入する場合を考えます。
不動産取得税
不動産取得税上の床面積が51㎡であれば、40㎡以上の要件を満たします。
本人居住、耐震基準など、ほかの要件も満たせば、住宅と住宅用土地の軽減を受けられる可能性があります。
住宅ローン減税
登記床面積が43㎡なので、40㎡以上の要件は満たします。
ただし、40㎡以上50㎡未満のため、合計所得金額1,000万円以下などの条件を確認する必要があります。
住宅用家屋証明書
登記床面積が50㎡未満なので、住宅用家屋証明書の床面積要件を満たしません。
そのため、建物の所有権移転登記や抵当権設定登記について、一般住宅の登録免許税軽減を受けられないことがあります。
同じ住宅であっても、三つの制度の結論が一致するとは限りません。
不動産購入前後の確認手順
購入を検討している段階
まず、販売図面の面積だけで判断せず、登記事項証明書を確認します。
マンションでは、専有部分の登記床面積が何平方メートルあるかを確認してください。
40㎡または50㎡の境界に近い物件では、1㎡未満の差でも結論が変わります。
売買契約後から決済前
司法書士は、所有権移転登記や抵当権設定登記の準備とともに、住宅用家屋証明書を取得できるか確認します。
主な確認事項は次のとおりです。
- 登記床面積が50㎡以上か
- 本人が居住する住宅か
- 取得原因が売買または競落か
- 新築または取得後1年以内の登記か
- 中古住宅の場合は耐震要件を満たすか
- 併用住宅の場合は居宅部分の割合を満たすか
杉並区では、登記事項証明書、住民票、売買契約書などが基本的な申請書類とされています。未入居の場合には、申立書や現在の住居の処分方法を示す書類などが必要になることがあります。
購入後
不動産取得税については、都道府県から届く納税通知書を確認します。
軽減が反映されていない場合や、40㎡前後のマンションで共用部分の扱いが分からない場合には、納期限前に都税事務所・県税事務所へ確認してください。
住宅ローン減税については、原則として最初の年に確定申告が必要です。給与所得者は、2年目以降、一定の場合に年末調整で控除を受けられます。
よくある質問
広告に「専有面積52㎡」と書いてあれば、住宅用家屋証明書を取得できますか
広告の面積が壁芯面積である場合、登記床面積は52㎡より小さくなることがあります。
住宅用家屋証明書は、原則として登記床面積50㎡以上であることが必要です。登記事項証明書を確認しなければ判断できません。
登記床面積が39㎡でも、不動産取得税の軽減を受けられますか
可能性があります。
マンションでは、共用部分を按分した床面積を加えて不動産取得税の床面積要件を判定します。合計が40㎡以上となり、ほかの要件も満たせば軽減対象になり得ます。
不動産取得税が軽減されれば、登録免許税も軽減されますか
自動的には軽減されません。
不動産取得税と登録免許税は別の税金であり、床面積の基準も確認方法も異なります。
不動産取得税上は40㎡以上でも、住宅用家屋証明書に必要な登記床面積50㎡以上を満たさないことがあります。
住宅用家屋証明書は購入者が自分で取得するのですか
本人が市区町村へ申請することもできます。
ただし、不動産売買の決済では、登録免許税の計算や登記申請と一体で確認する必要があるため、通常は登記を担当する司法書士が取得準備を進めます。
証明書が取得できる前提で費用を計算していたものの、床面積や入居要件を満たしていなかった、ということがないよう、決済前に確認することが重要です。
まとめ
2026年の改正により、40㎡台の住宅について減税対象となる可能性が広がりました。
ただし、三つの制度は次のように分かれています。
- 不動産取得税は、2026年4月1日以後の取得から原則40㎡以上
- 住宅ローン減税は、2026年以後の入居について新築・中古とも原則40㎡以上
- 住宅用家屋証明書は、現在も登記床面積50㎡以上
さらにマンションでは、壁芯面積、登記床面積、現況床面積・課税床面積が一致しないことがあります。
特に40㎡または50㎡の境界に近い物件では、販売図面の数字だけで軽減の可否を判断してはいけません。
どの税金について、どの床面積を確認するのか。
この点を整理しておくことで、購入後に予想外の税負担が生じるリスクを減らすことができます。
中野司法書士事務所では、杉並区・中野区を中心に、不動産売買に伴う所有権移転登記、抵当権設定登記、住宅用家屋証明書の取得などに対応しています。
住宅用家屋証明書の要件は、床面積だけでなく、入居状況、取得原因、建築年月日、耐震性などによっても判断が変わります。
40㎡台・50㎡前後のマンションを購入する場合や、登録免許税の軽減を受けられるか分からない場合は、売買決済の直前ではなく、登記費用の見積りを確認する段階でご相談ください。
高円寺駅徒歩1分の事務所で、登記手続と必要書類を一つずつ整理してご案内します。
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